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RN/HF 8日目 2つの幕間

柳洞寺で士郎が廊下に残された血痕に名残惜しげに触れていたシーンがありましたが、セイバーvsハサンであそこで負傷したのは腕を斬られたハサンの方だという台無しなことに気がつきました。
―――あれ?
えーとでもほら、血痕は手のひらより小さいくらいで、ハサンの血にしては少ないし。セイバーが呑まれる途中で血を流したんですよ、きっと。ねぇ。

あの人はずっと傷ついてきたのに、今まで綺麗なままここにいてくれた。
その、自分なんかとは違う大切な存在を傷つける者は、誰であろうと許さない。
イラスト 95.png
「―――なんだ。外に、出さなければいいんだ」
ほっとした声で、ごく単純な答えに少女はいきあたった。

「歩けなくなるぐらいの怪我をしちゃえば、もう危ない目にあうことはないですよね、先輩―――」

呑まれたサーヴァント3人目。桜さん壊れ始める。


ハサンに殴り飛ばされた腹と、叩きつけられた背中の痛みをかばいつつ衛宮邸に帰り着くと玄関に明かり。上がり口に桜が待っています。本人はたまたま夜更かしをしていてトイレに寄った帰りだといいますが、これは士郎が察したとおり士郎とセイバーが出かけた3時間前からずっと廊下で待っていた、が正解。……セイバーなら追いかけるか居間で待つだろうし、凛なら時間を見計らってから玄関に出てくるところでしょうが、性格の違いが出たなぁ。
傍目にもわかりやすく参っている士郎に、元気が出るからと強引にお茶を勧める桜。
それに応えてようやく出てきた「ただいま」という士郎の言葉に、桜もほっとした様子で「お帰りなさい」と返します。

淹れてもらったお茶がダメージを受けたお腹にしみて咽たことで怪我発覚。
打撲はどうしようもないのでとりあえず背中の手当てになりますが、消毒薬が痛いとこぼす士郎に容赦なく且つてきぱきと手当てする様子はどことなく姉に似ていると思いました。UBW通過してない士郎は弓道部仕込みか藤ねえ仕込みかと思ったようですが、UBWでイリヤ城に向かう前の晩のやり取りとよく似てるよ。
20分かけて手当てを終わり、桜にお礼を言って寝ようとしたところで
「それはいいんですけど、セイバーさんは帰られたんですか?」
という桜の言葉。
桜はライダーの視覚を共有することもできることが後に出てくるのでセイバーの顛末を知っていてもおかしくないんですが、このあとに出てくる桜のモノローグを見る限り、事情を察してはいるもののはっきりとは知らないようです。
急な話だけどもう戻ってこない、最後に桜のことを気にしていたと伝えると、せっかく仲直りできたのにお別れがいえなくて残念ですと桜。後味悪く思い悩む士郎に、
「でもよかった。あの人が来てから先輩怪我してばかりだったから」
というセリフがプレイヤーにはひんやり重たいです。
fate・UBWで士郎を奉じてきた相棒セイバーも、平和な日常から急に命がけの戦争に放り込まれた士郎を案じていた桜からすれば「士郎から日常を奪った一因」という要素が大きかったという話。
……前2ルートからの視点の違いが大きすぎて、プレイヤーついて行きづらいです奈須さん。
桜というキャラクターの数多いコンセプトの一部として「本来救われるべき対象でない者」「士郎が戦争に参加することを厭う者」というものがあると思うんですが、2ルート通して「共に命がけで戦い抜くヒロイン」に馴染んだプレイヤーにとっては切り替えがついていかない難物ヒロインだと思います。
というか、ギャルゲヒロインとしてこのコンセプトは大き過ぎるハンデだと思うんですが……
「セイバーをつき合わせていたのは自分だし、明日からはもっと家を空ける」
という士郎の言葉に驚いて、ろくに言葉を返すこともできずにただ「お休みなさい」と応える桜。
士郎は部屋に戻って、セイバーを破ったのがあの「影」であること、「影」を追う限り臓硯は自分の前に立ちふさがることを確信します。

幕間。部屋に戻った桜。
少なかった桜視点の描写が入り始める時期ですが、既に3人のサーヴァントを呑んだ桜の思考はおかしくなり始めている様子。めったに風邪を引かないという桜ですが、また熱を出して倒れかけている上に幕間の最初と最後で言っていることがはっきり矛盾しています。
電気を消すことすらやっとの体で服のままベッドに倒れこみ、一体誰が士郎にあんな怪我をさせたのかと憎悪を抱く桜さんですが、士郎の背中を思い出して妄想モードに。
……えーと成長期の士郎さんを回想しつつ指でシーツを辿る、妄想モードの桜さんがえろっちいです。さすがえろ担当。
PCにはあれやこれやと妄想が突っ走る描写のあったシーンですが、レアルタの桜さんは曰くカモシカのようにしなやかだとゆー士郎の背中やら胸板やら回想しまくった最後に、妄想の指が士郎の唇までたどり着いたところで真っ赤になって停止。雰囲気は残して最小限の形で削られましたですよ。
…………ぼろぼろの背中にときめいてごめんなさいとか、桜さん、あなたって子は(笑)
いや、士郎の見所はぼろぼろさ加減だけど。
士郎は自分を遠ざけることで守ろうとしているけど、桜は士郎にそばにいて欲しい、そんなことはわがままだという桜さんの後ろ向きな煩悶が原作よりやや強調される格好になってます。
ひたすらにごめんなさいと繰り返しながら士郎にこれ以上怪我をさせたくないと考える桜の出した結論は
「歩けなくなるぐらいの怪我をすればもう外に出られない、危ない目にあうこともない」
声がついたことで、どこまでも思考がズレていく桜の薄ら寒さがさらに強まりました。怖いよぅ。
士郎の描写の方が何も知らない善意で動くもの代表になってる分、士郎逃げてーな、感じが漂い始めます。
ちなみにシーンタイトル名は「サナギ」。

さらに幕間。貴重なギルガメッシュと言峰の日常のやり取り。
監督役として言峰が書いている昏倒事件の報告書によると、この段階での被害者57名、うち死亡者5名。言峰の見立てによるとそのうち大の男でも一晩もたなくなるだろうとのこと。ギルガメッシュはギルガメッシュで、世界の全ては我のものー、な人なので自分以外が人を殺すのは気にいらんようです。わがままだ…!彼的理論では「人を人を殺せば罪罰で迷うが、それは別にみてて面白くもなんともない」かららしいです。
……ああ、やっぱり「殺せば」だったんだ。PCではパッチあてても「人が人を降ろせば」という誤字が直ってなかったポイントですorz
「おぞましいから殺す」ギルガメッシュと「楽しいから殺す」言峰、主従の絆ここに深まる。
なんてはた迷惑な主従なんだ……。
ご機嫌で去った英雄王に「無価値なものはあるが無意味なものはない」という言葉を向ける言峰ですが、人の価値と意味については好き漫画に好きなセリフがいくつもあったのを思い出しました。言葉としては全く逆ですが、
私はそっちの方が好きです。
全然関係ない話なんですが、ちなみになるしまゆりの「プラネット・ラダー」。
「確かにその案は考えたけど……気に入らないの、なんとなく。気が進まない。人生なんてものに意味なんてないと思うけど、さらにその価値までなくなるような気がするのよ。それは多分、全然違うことでしょ?」(3巻)

「…やめて。私には価値なんてない」
「お前が知らぬだけだ」
「知っているわ。私には価値なんてない(中略)
見かけが美しかろうと学問がどれほど得意だろうと生ける武器の声が聞こえようと、そんなことは私の価値なんかじゃない。持って生まれたその事で一体私が何をしたというの?(中略)
…何もした事のない人間の価値はゼロだわ」(4巻)

二界滅亡のくだりは名作です。あんなに心を打つニワトリさんはいません。

ここいらから間桐さんちの殺人事件までの流れが非常にじわじわぎりぎりと痛々しいので苦手だったりします。桜さん本領発揮は衛宮邸襲撃からだと思うんですよ。